[経営者・管理者に聞いた]介護事業所の”いま”

~他事業所の事例を参考にしよう・お互いに頑張ろう~Presented by 介護マスト

元営業マンが目指す「スタッフみんなで創る会社」

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株式会社 城東ケアサービス

  • 埼玉県上尾市
  • 訪問介護・介護リフォーム

 

お話を伺った人

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西川 将道(まさみち)さん(代表取締役社長)

 

「介護って自分に向いていないと思った」。そう語るのは「株式会社城東ケアサービス」で代表取締役社長を務める西川将道さん。今年5月に埼玉県上尾市で、訪問介護と介護リフォームを提供する会社を設立。現在はヘルパーとして現場にも出ている西川さんは、専門学校で介護福祉士資格を取得したものの、介護業界には進まず住宅業界で営業マンとして10年以上働いてきました。なぜバリバリの営業マンをやめ、介護事業所を立ち上げたのか? その経緯や会社の理念についてお話を伺いました。

 

右向け右”な企業体質が好きになれなかった

「ぶっちゃけていいですか。僕、介護に向いてないと思ったんです」

専門学校で介護福祉士資格を取得後、1年半ほど介護業界で働いた西川さん。やめた理由を聞くと、笑いながらそう答えてくれました。

「大きな施設だと決められた時間内に全て済まさないといけないじゃないですか。例えば排泄だったら素早く終わらせなきゃいけないし、個別に声掛けしていたら遅くなってしまう。そういうのが自分に向いてないなって。一人一人とじっくり向き合いながらケアをしたかったんですよね」

次の仕事を考えていた時、人と喋るのが好きな西川さんは営業職に興味を持ち、建築用資材を販売する会社に転職。13年もの間、バリバリの営業マンとして活躍されました。その後、自分で会社を設立することを決意。きっかけは会社という組織に対する違和感だったといいます。

「ピラミッド型の企業体質がつまらなかったんですよね。上の意見が絶対で、現場の人間がこうしたいって言えない。そうじゃなくて、パートだろうがアルバイトだろうが、良い意見なら取り入れてみんなで創っていく会社にしたかった」

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▲スタッフとの間に壁ができないよう、フラットな会話を心掛けている

 

独立するにあたって自分に何ができるかを考え、介護か住宅関連だと思った西川さんは、それをそのまま事業化。現在の会社設立に至りました。

 

今もこれからも”現場主義”

自社の訪問介護の特長は「自立支援」だと語る西川さん。例えば寝たきり防止のために細やかな声掛けを行うことで自発的な行動を促したり、必要だと感じたことはケアマネジャーに提案してケアプランに組み込んでもらうこともあるそうです。

「例えば、いつも『だるい』って言っている僕のお客様が、『デイサービスの時はだるくない』って言ったんですよ。『やっぱり身体動かしているからじゃないですか』と話したら、『そうだね』って。『じゃあ今日ちょっと歩いてみますか? 午前中ならそんなに暑くならないし』と僕が聞いたら、『そうだね。〇〇まで行きたいな』って返してくれたので、外出支援の組み込みをケアマネジャーに提案してみました。効率良く業務をこなす中で、何か他にも本人の希望に添えることはないか、いつも意識するようにしています」

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▲お客様との話を楽しそうに語る西川さん

 

ご利用者を「お客様」と呼ぶところからも、元営業の西川さんのお客様を大事にする姿勢が強く感じられますね! 現在、西川さんはお客様を一人担当していますが、社長業が忙しくなっても現場には必ず行きたいと話します。

「現場スタッフから相談された時に、悩みを共有できないのが嫌なんです。社長の僕が現場を知らずに上からものを言っていたら、それこそ昔いた会社と同じになっちゃいますから」

 

「建築×介護」介護リフォームの可能性

二本柱のもう一本である介護リフォーム。お客様の反応はどうでしょうか?

「それがすごく良いんですよ。リフォームの方が忙しいぐらいで、割合だと7:3くらい。1千万超えの工事とかもあって、土曜日に一人で生コン(生コンクリート)を練ったりしています。今後は少しずつでも訪問介護の割合を増やしていきたいですね」

売り上げ順調な介護リフォームですが、だからといって西川さんは介護リフォームのみに絞るつもりはないそうです。

「スタッフ確保のためにも、リフォームは大事な柱です。介護の収入はあまり上下しないのに対して、リフォームは粗利が大きいので、それだけスタッフに還元できるじゃないですか。一番やりたいのは訪問介護ですよ」

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▲和気あいあいとした雰囲気の事業所内

 

やりたいのは「笑売」

介護なら訪問介護をやると決めていた、と語る西川さん。その理由には仕事に対する西川さんの熱い思いが関わっていました。

「訪問介護はマンツーマンでお客様と接するので、希望に沿ったサービスを提供しやすいんです。介護の質を決めるのは『人としてどう接していくか』。だからこそ、うちは『笑売』をしようとスタッフに話しています。商品とかサービスを売るんじゃなくて、笑いを売ろう。訪問に来てくれて本当にありうがとう、とお客様に思ってもらえるようにしようって」

そう言うと西川さんは胸につけていた社章を私たちに見せてくれました。

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▲西川さんがデザイナーさんとじっくり話し合って作り上げた社章

 

「これは会社を立ち上げる時に作りました。よく見ると全部矢印になっているでしょ。『お客様』『うち』『ケアマネジャー』の3つがそれぞれ繋がっていることを表現しています。あと、”PCC”を理念として掲げています。Progressive(進化)・Challenge(挑戦)・Change(変化)。進化するためには変わらなきゃいけないし、挑戦しなきゃいけない。アルバイトさんだろうとパートさんだろうと誰であろうと、会社を進化させる提案はできる。会社が成長するに連れて理念を忘れがちになると思ったので、社章として形に残しました」

現場を大事にし、スタッフみんなと一緒になって会社を創っていきたい。一度は介護業界を離れ営業マンとして社会を経験した西川さんだからこその思いが、この社章と会社には詰まっているんですね! 今回の取材では、「理念を持って働く大切さ」を本当の意味で学ばせていただきました。まだ会社が始まって3ヶ月。これからの城東ケアサービスの活躍が楽しみでしょうがないですね!

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