[経営者・管理者に聞いた]介護事業所の”いま”

~他事業所の事例を参考にしよう・お互いに頑張ろう~Presented by 介護マスト

介護と育児の融合は“社会の縮図”を生み出した ~女性支援の視点からダイバーシティ経営を目指す~

株式会社Caihome

・東京都葛飾区

・通所介護 定員10名

 

お話を伺った人

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代表取締役社長 永井玲子さん

 

 

家事、育児、介護―。多くの女性たちが社会進出するようになったとはいえ、これらは女性たちがやるべきもの、という意識は根深く残っています。しかし現代女性はより自分らしく生きるため、時間に追われつつも自立し、人生を楽しんでいます。そんな働く女性(ニナウーマン)を応援する、女性の味方ともいえる事業を展開するのが株式会社Caihomeです。今回は代表取締役社長である永井玲子さんに、同社の特長や課題、今後の展望などについてお話を伺いました。

 

育児も家事もきちんとやりたい

自身の願望が転職のきっかけ

 

―まずは会社設立の経緯について教えてください。

 

もともとは建築業界で営業職をやっていました。毎日とてもハードで、いつまで続けられるか不安な毎日でした。

なんとなく、20代のうちに結婚して子どもを産んで、仕事も育児もきちんとできる母親になりたいな~と思っていました。そんな時に女性のキャリアアップセミナーに参加する機会があって、自分の生き方、働き方について考えるきっかけになりました。

その後、建築会社の民事再生をきっかけに自分の今後を考えたとき「結婚しても出産しても社会と繋がっている環境を自分で創ろう」という想いが強くなり、縁あって同世代の福祉業界の経営者たちと話した際にその想いを伝えると「それ、やってみれば!?」と言われたのがきっかけで、株式会社Caihomeの取締役に就任し、のちに代表取締役となり、今の事業に着手しました。

 

―そこから始まったのですね。では今の事業内容について教えてください。

 

 

「女性の『その人らしく』を応援する」を理念に、24時間365日デイサービスと、20時まで、祝祭日ありの学童保育を運営しています。介護や育児を理由に仕事をやめてしまう女性を支援するのが会社の事業方針です。

女性にはたくさん役割がありますよね。仕事、家事、育児、介護と。でも自分らしさを忘れずに輝こうとする現代の女性を支えたいと思っています。女性がより社会進出できるように支援することで、より良い介護や育児につながり、女性がより一層明るくなれる。そうすることで社会に好循環を生み出せるのではないかと思っています。

 

―素晴らしい発想ですね! とてもやりがいがありそうなお仕事ですが。

 

毎日大変なこともありますが、とてもおもしろいです。社会の課題を解決することで社会貢献できていると実感できるのがモチベーションにつながっているのだと思います。

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▲カイホーム細田。2階にはインターナショナルスクールがある

 

自然に生まれた子どもと高齢者の交流

スタッフにも気づきが

 

―介護と保育のドッキングはほかでも耳にしますが、このふたつを同時運営することで何かメリットはありますか?

 

最初から子どもと高齢者を交流させるつもりはなくて、女性支援のための事業をやろうとしたらたまたま介護と育児にフォーカスがあたったのです。それが良かったのか、自然に両者の交流が生まれていますね。

基本的に保育室とデイルームは別の部屋を設定していて、日々のふれあいはおやつを一緒に食べる時間くらいなのですが、子どもが自発的に手伝ってくれることはあります。教えていないのに、きっと自然に気遣いや優しさが身についているのだと思います。

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▲保育室とデイルームは別に設置されている(保育室は右端にある8帖の和室)

 

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 ▲部屋数の関係で保育室で取材したため、追い出された子どもがデイルームへ。捕獲したザリガニを嬉しそうにお年寄りに見せていた

 

お年寄りも、さっきまで介助を受けていた方がふっとおばあちゃんの顔になって逆に子どものお世話をしていたりして、介護するスタッフも『ああ、この人にも歴史があるんだ、こういう一面があるんだ』と気づけて、立ち止まれるというか……。

子どもってピュアですから、思ったことをそのまま言葉にするのですよね。すこしきつい言葉でもストレートに言ってしまう。でもかえってそれが新鮮で、私含めスタッフも高齢者の方も気付かされることがあったりして、世代関係なく社会の縮図のような環境を生み出せていると思います。

 

―社会の縮図ですか。それは非常におもしろいですね。子どもにとっても特別な場所という感じがします。

 

そうですね。家庭でもない学校でもない、第3の場所ですね。彼らの安全地帯として今後も存在していきたいと思っています。

 

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▲保育室には子どもたちが工作した折り紙がたくさん飾られている

 

―学童保育は、区の事業とどう差別化していますか?

 

土日祝日もやっていることと、チケット制で1時間300円というところが売りです。葛飾区は1ヵ月7,000円くらいで、民間の平均は5~6万円です。うちは月に換算しても2万円以内なので、民間でもかなり安価なほうだと思います。それと一般的には学童は19時までのところが多いのですが、うちは20時までやっているので都内まで通勤している親には喜ばれる事が多いですね。

 

新店舗は従業員のその人らしさに着目

サービスも手厚く

 

―会社の課題だなと感じていることは何かありますか?

 

今は人の問題が大きいです。管理者を外部採用するのではなく、内部から昇進するようにしているのですが、年上のスタッフを年下の管理者がまとめるケースもよくあって、世代間ギャップを若手管理者がどうまとめるか、それが課題だと感じています。22歳から65歳までさまざまな年齢のスタッフがいますから、角をたてずにうまくまとめていくにはそれなりの力量が必要とされます。

ちょうどこれから3店舗目を出すところで、いま出店準備に追われているのですが、新しい管理者も最初は少し大変かもしれません。

 

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―育った環境も違うわけですからね。ちなみに3店舗目はどんな業態ですか?

 

これまでは女性支援にフォーカスしてやってきたのですが、今度は女性従業員に着目した店舗にする予定です。「従業員の『その人らしさ』を応援する」がモットーで、シングルマザーでも働きやすい環境を整えたり、正社員でも非正規社員でもみんなが気持ちよく働けるようにしたいと思っています。

サービスの質をあげるために小規模定員にして手厚いサービス提供ができるようにしたいと思っています。

 

―3店舗目も期待大ですね! 今後の展開についてはどうお考えですか?

 

今後も女性支援の視点にたって、介護や保育にとらわれずダイバーシティ経営を目指します。働く女性と家庭の女性、どちらの女性も支援して、世の中の女性をもっともっと元気にしたいですね。そのためには机上の空論だけで考えるのではなく、現場に入って、肌で課題を感じていきたいと思っています。

 

―ありがとうございました!

 

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